MRI による心尖部心室瘤病変の描出について---心臓の画像診断におけるMRIの有用性---

伊賀幹二、*松尾導昌、*辻昭夫、*錦成郎、堀健次郎、松村忠史、玄博允、友永轟、北口勝司、玉村健年

  抄録

正常洞調律例で過去に左室造影を施行し心尖部を中心とした心室瘤または収縮低下病変と診断できた26例につき、MRI における心尖部病変の描出能につき比較検討した。原因は23例が心尖部に心室瘤を認めた陳旧性前壁中隔心筋梗塞で2例が肥大型心筋症に合併したもので1例が原因不明であった。MR装置はシーメンス社製Magnetom M10 1.0 T使用し、心電図同期を併用し、spin scho 法で左室長軸断面を2方向で、また同部位で gradient echo 法も適宜使用した。2例で心拍数の変動または期外収縮が頻発するために良好な画像がえられなかったが、他の24例で心尖部も心基部も同様に良好な画像がえられた。MRI は心拍数が一定で不整脈が出現しない限り心尖部の全体像を比較的鮮明にとらえることができ、心尖部収縮低下病変、特に心尖部心室瘤の画像診断について断層心エコー図のもつ欠点を補えるものと考えられた。